图片

2021/10/14 福祉心理学科

【研究】中川裕美助教らの共同研究が「International Journal of Sport and Exercise Psychology」に掲載されました

概要

東北福祉大学 総合福祉学部 福祉心理学科 中川 裕美(なかがわ ゆみ)助教、広島修道大学 健康科学部 心理学科 横田 晋大(よこた くにひろ)教授、中西 大輔(なかにし だいすけ)教授の研究グループは、野球チームのファン集団における内集団協力について報告しました。

野球は、古くから好きなスポーツ1位としてよく挙げられており、約30%の人が野球ファンであると回答しています。野球ファンは、自分の応援するチームが優勝すれば、川に飛び込んだり、街へ繰り出したり、ファン集団の一員としての行動を取ることがよくあります。このような集団レベルの行動の一つに、内集団協力というものがあります。内集団協力とは、自分が所属している集団 (内集団) のメンバーに対して、所属していない集団 (外集団) のメンバーよりも協力的に振る舞うことを指します。中川らの研究グループでは、同じチームを応援する野球ファンを対象に内集団協力を検討しました。さらに、ファン同士であれば、なぜ協力的に振る舞うのか、その心理メカニズムの働きを明らかにしました。

2017年4月から6月までの期間中に、広島と神戸で大学生を対象に実験室実験を行いました。実験で行うゲームで獲得した金額を、参加者の謝礼に反映することでリアリティの高い状況を設定しました。広島38名と神戸94名の野球ファンのデータをそれぞれ分析しました。以下は、本研究の概要です。

  • 実験では、1回限りの囚人のジレンマゲームという二者間で金銭のやりとりを行うゲームをペアの相手を変えて3回行います。
  • ゲームでは、200円の元手の中からペアの相手に何円渡すかを決めます。自分が渡したお金は無くなりますが、相手に2倍になって渡されます。相手も同じゲームを同時に行うため、手元に残したお金と相手からもらうお金が獲得金額になります。
  • 広島と神戸で行なった実験の結果、どちらでも「互いに相手が同じチームを応援する野球ファン (内集団メンバー) である」と分かる状況 (Bilateral) でより多くのお金を渡していました。
  • これは、内集団メンバーにお金を渡して協力的であることを分かってもらえば、何か将来的な見返りがあるかもしれないという「互恵性を期待する心理メカニズム」が働いていることを意味しています。
【参考図】実験ゲーム内での提供金額 (Contribution) と相手からの提供を期待した金額 (Expectation) を示しています。図内の○は平均値です。Study 1は広島、Study 2は神戸の結果です。条件は、Bilateral (互いに野球ファンと分かる)、Unilateral (参加者が一方的に相手は野球ファンと分かる)、Control (互いに分からない: 統制) の3つです。

論文題目
Ingroup cooperation among Japanese baseball fans using the one-shot prisoner’s dilemma game
著者:Nakagawa, Y., Yokota, K., & Nakanishi, D.
掲載誌:International Journal of Sport and Exercise Psychology. Advance online publication.
https://doi.org/10.1080/1612197X.2021.1987963

関連リンク